【完】クールな君に胸キュン中!
「〝顔は〟って、須賀は正直者だなー」
「えー、だって本当だもん。別にバスケめちゃくちゃうまいってワケでもなさそうだしー」
ギュッと拳を強く握りしめる。
悔しいのに、何も言い返せなくて下唇を噛んだ。
「写真とかないの?」
「ないなー。奈乃、また撮ってきたら見せなさいよ」
「…………」
「おい、シカトかよ」
須賀さんは立ち上がって、テーブルをバンッと強くたたいた。
みんなのグラスの中のジュースが揺れる。
歌ってた子も、ビックリして歌うのをやめてしまった。
「……写真は、ない……」
「だから撮ってこいっつってんだよ」
イヤだよ。どうしてあなた達なんかに、桐谷くんを見せなきゃいけないの。
「あー、マジしらけるー。あ、続けて続けて」
須賀さんは歌ってた子に、続きを歌うよう催促する。
そしてその子は、この険悪な雰囲気とは似つかわしくない、最近人気のアイドルグループの歌を再び歌い始める。