【完】クールな君に胸キュン中!
「話してる時もうわの空。ボーッとしてることも多いし、なんかあったの?」
「……なにも、ないよ」
ははって笑って見せた。
言えるわけがない。
あたしが放課後、須賀さん達に呼び出されていることも……。
「あんたは……嘘をつくのが下手だよね」
「…………」
「まぁそれがいいとこでもあるけど」
桐谷くんがそっとあたしの顔を覗き込む。
間近で顔を見られて、嘘をついていることに罪悪感を感じた。
こんなにも真剣に向き合ってくれているのに、あたしはどうして今、好きな人に対して偽りばかりを口にしているんだろう。