【完】クールな君に胸キュン中!
……どうして……?
あたしが桐谷くんの隣にいると、傷つけてしまうかもしれないのに……。
バスケのことに関して、悪く言われてしまうかもしれないのに……。
なにより……。
「……あたしのせいで桐谷くん、あんなこと言われたのに……あたし、何も言い返せなかった……」
何も知らない桐谷くんは、首を傾げる。
ちゃんと須賀さんに、言い返せるはずだった。
それなのにあたしは、怖くて言い返せなかった。
本気で桐谷くんのことが大切で……守りたいのなら、言えたはずなのに。
「逃げてばかりで、なんにもできなくて……無力で……ごめんなさ……っ」
泣いてるあたしの顔を、桐谷くんが覗き込む。
こんな、自分勝手なあたしのことを。
彼女失格な、あたしのことを。
「顔あげて、奈乃」
どうして……そんなに愛おしそうな目で見つめてくれるの……?