【完】クールな君に胸キュン中!
桐谷くんは、何も言わずにあたしの頬に手を添え、親指で涙をすくってくれた。
「……あんなことって、誰に何言われたのか知らないけど……。頼むから、ひとりで突っ走らないで。俺がいるから、迷惑かけるとか思わないでちゃんと相談して」
桐谷くんの優しい言葉に、あたしは首を横に振る。
「……そんなことしたら……桐谷くんが傷つく……っ」
「傷ついてもいいよ。俺のこと悪く思ってる人なんてきっとたくさんいるだろうし。
でも、あんたがいれば、別に誰になんと言われようと気にしない」
「…………」
「どうでもいいんだよ。たとえ誰に嫌われようと、奈乃だけ好きって言ってくれれば。
それでいい。それ以外に、興味の欠片もない」
「……ふっ……うぅっ……っ」
なんで……?
なんで……桐谷くんは……。
あたしの欲しい言葉を、いつもくれるの……?
……傷つけると思ってた。
あたしが隣にいることで、いつか必ず、大好きな彼を傷つける日がくるって。
どうにかしなきゃって……私が離れるべきなんだって、そう思った。