【完】クールな君に胸キュン中!
「桐谷くん……」
「なに?」
顔を上げて、桐谷くんはあたしの顔を覗き込む。
涙ぐむあたしの顔を、いつものあの優しくておだやかな笑みで見つめてくれている。
自分で答えを出せない今、この迷いを確かめられずにはいかなかった。
「……あたし、ここにいてもいい……っ?」
「ここって?」
わかってるくせに、言わせようとしてくる桐谷くん。
あたしの髪を指でとき、そのまま頬に触れる。
涙でグシャグシャなあたしは、素直に答えた。
「桐谷くんの隣……です」
そう言うと、桐谷くんは少しだけ口角をあげる。
「そう頼んでるのは、俺の方なんだけど」
全身が震えるくらい、うれしくて。
それだけで、あたしはもう十分だった。