【完】クールな君に胸キュン中!



「……よ、」



「よ?」



「良かったら、使ってくださいぃっ……!」



「えっ!あ、ちょっと待って……!」



その場から逃げ去るように、あたしは走り出した。




それから1週間後。



テストの結果が全て返ってきて、それなりの点数をとったあたしは、あの図書館へ向かった。


なんとなく、また会えるかな……なんていう期待と緊張を持って。




「あ、やっと会えた」



「っ!?」



背後から突然そんな言葉を投げかけられ、思わず振り返ると……あの日シャーペンを貸した男の子がいた。


まさか……本当に会えると思ってなかったから驚いた。




「これ、ありがとうございました。助かりました」



とてもおだやかに笑って、あたしにシャーペンを返してくれた男の子。



彼はあたしにお礼を言ってくれた。



面と向かって、偽りのない言葉と共に笑ってくれた。



こんなあたしでも、誰かの役に立てるということを教えてくれた男の子。



あたしは密かに、彼に対して感謝と憧れの感情を抱いていた。



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