【完】クールな君に胸キュン中!
一定の速度の足音は、あたしの胸のドキドキとリズムが一致する。
ぼんやりと彼の顔を眺めながら思う。
あぁ、またあんな目をしてる……と。
桐谷くんはいつもひとりで行動してる。まるで一匹狼のよう。
強そうなのに、どこか寂しげなの……目が離せないくらいに。
「……何?」
ジッと桐谷くんを見つめていたからか、桐谷くんは少し顔をしかめてあたしにそう聞いてきた。
「あ、ううん!なんでもない!」
あたしは慌てて日誌に向き直る。
ふー、桐谷くんの伏せがちな顔に見惚れちゃってた。
気をつけないと。
桐谷くんはあたしの前の席に着くと、クルッと後ろを振り返る。
……近い!!なにこの席、神席!!
「ねぇ、俺を拝んでる暇あるなら早く仕事しなよ」
「……はい!」
そして言われるがまま、あたしはもう一度シャーペンを握ったが……。
そうだ、ひとこと空欄で止まってたんだ。
……ん?