【完】クールな君に胸キュン中!
「調子にのってると、痛い目みさせてやるからな」
「……っ、」
こ、怖い。
玄関でまさか、こんな目に遭うとは思ってもみなかった。
今日はなんとか遅刻ギリギリの時間に間に合ったのに、もうすぐで授業が始まるからか、周りには人ひとりいない。
集団リンチって、こういうのを言うのかなぁ……。
なんて、ぼんやりとそんなことを思ってしまった。
そんなとき、
「あっれー!? こんなとこで何してんの?」
突然、背後からこの場には不似合いの意気揚々とした声が聞こえてきた。
驚いて振り返って見れば、そこにはびしょ濡れのイッチーが。
「イッチー!?」
「おはよー折原!……なんかあったの?」
ニコッと笑いながらあたしにあいさつしたかと思えば、イッチーはスッと女子生徒達に細めた目を向ける。
目が合った女の子達は、ビクッと肩を揺らし、
「ヤバ。行こ……!」
少し青ざめた顔でパタパタと去って行った。