【完】クールな君に胸キュン中!
ゆっくりと後ろを振り返ると、思ってもみない人物がそこにいた。
暗くてもわかる。
「……桐谷、くん……?」
「さっきから騒々しいんだけど」
サァッと血の気が引く。
あたしはくるりとドアにすがりつき、さっきの何倍も大きな声で叫んだ。
「お願い待って!ここを開けてください!
桐谷くんがいるの!あたしはともかく、桐谷くんは出してあげて!!」
だけど外からは、足音も何も聞こえない。
阿部さん達はもうすでにいなくなってしまったあとみたいだ。
「ねぇ」
ドアをたたいていた手をガシリと掴まれる。
そのまま強引に桐谷くんの方へと体ごと方向転換させられる。
「なんであんた、こんな嫌がらせされてるの?」
ドキッ。
……至近距離に桐谷くんの整った顔があって、あたしの顔は一気に熱くなった。