庭師とお姫様 (naturally番外編)
数分も経たない頃。
言われた通りその場で姫を待っていた彼の元に、小さなバスケットを抱えたミリザ姫が息を切らせながら戻ってきた。



「良かった……ちゃんと待っていてくださって」



「そりゃあ姫様のお顔に有無を言わせない迫力がありましたからね」



「まぁっ。私ったらはしたない……」



「冗談ですよ」



彼の存在を見つけて安心したように呟いた姫の言葉に、庭師は悪戯っ子のような笑顔で笑ってみせる。


一瞬呆気にとられたものの。


姫もその笑顔につられて自然と大きな笑顔を浮かべていた。



「では、お返しにうんと滲みるお薬を塗って差し上げます」



「え~。それは勘弁してください」



軽口を叩き合いながら二人は木の根元の木陰になった部分に腰を降ろす。


< 17 / 70 >

この作品をシェア

pagetop