庭師とお姫様 (naturally番外編)
姫は持ってきたバスケットの中から消毒薬を取り出すと、手早く彼の傷口を消毒していく。
そして、綺麗になった傷口に軟膏を塗り、包帯をくるくると彼の腕へと巻き付けていった。
それらの動きにはまるで無駄がなく、
「傷の手当てがお上手なんですね。姫様なのにこんなことが出来るなんてすごいです」
思わず感心する彼の言葉に、さっきまで笑っていたはずのミリザ姫の表情は一瞬の陰りを見せる。
よかれと思って口にした言葉でまさかこんな反応を見せられるとは思わず、庭師は必死に弁解の言葉を探した。
彼が二の句を次ぐより早く、
「……すごくなんてないんですよ。以前、怪我をした親兵の手当てをしていたら、王家の人間がこんな庶民のような真似をするなんて恥さらしだって……お姉様方には叱られました」
そう言って姫は悲しそうな笑みで包帯の巻かれた腕を見つめる。
この親兵とはシェナのこと。
シェナが嬉しそうにお礼を言ってくれたのが、ただ嬉しかったのに。
姉姫たちの嫌味が未だに心の傷となって、こうしてミリザ姫の中に残っているのだ。
そして、綺麗になった傷口に軟膏を塗り、包帯をくるくると彼の腕へと巻き付けていった。
それらの動きにはまるで無駄がなく、
「傷の手当てがお上手なんですね。姫様なのにこんなことが出来るなんてすごいです」
思わず感心する彼の言葉に、さっきまで笑っていたはずのミリザ姫の表情は一瞬の陰りを見せる。
よかれと思って口にした言葉でまさかこんな反応を見せられるとは思わず、庭師は必死に弁解の言葉を探した。
彼が二の句を次ぐより早く、
「……すごくなんてないんですよ。以前、怪我をした親兵の手当てをしていたら、王家の人間がこんな庶民のような真似をするなんて恥さらしだって……お姉様方には叱られました」
そう言って姫は悲しそうな笑みで包帯の巻かれた腕を見つめる。
この親兵とはシェナのこと。
シェナが嬉しそうにお礼を言ってくれたのが、ただ嬉しかったのに。
姉姫たちの嫌味が未だに心の傷となって、こうしてミリザ姫の中に残っているのだ。