庭師とお姫様 (naturally番外編)
「ははは。もう何回も聞かされてるからな、俺たちは」



ゼンに同意するように軽く笑ったショウに、ゼンがどうだと言わんばかりの表情でシュリを一瞥する。



もちろん、そんなことをされてはシュリも黙って居られない。



歳が同じなせいか、はたまた性格的なものなのか。
シュリとゼンはことあるごとに、つまらない小競り合いを繰り広げているのだ。



「ゼンったら本当は羨ましいんでしょ? こんなロマンチックな恋がしたいって思ってるんでしょー?」



「んな訳あるかよっ。これだからシュリはいつまで経っても夢見がちな箱入り娘なんだよ。そのうち兄貴に愛想尽かされてもしらないからなっ」



「っっっっ!!??」



ちょっとからかってやろうとゼンを揶揄すれば、遠慮のない口調で倍返しな目に遭ってまんまと半泣き状態にされてしまう。



「ゼンは売り言葉に買い言葉で返してるだけだ。いちいち真に受けなくていい」



「ショウ……」



ショックを受けて放心するシュリの頭を、隣からポンポンと撫でながらショウが小さく笑いかける。



そんなやり取りに、呆れたようにあからさまな溜め息をつくゼンを、



「シュリ。ゼンは思春期で尖ってるからな。許してやれ」



「うるせぇな! 誰が思春期だ!」



カラカラと楽しそうな声でカイが一笑した。


< 48 / 70 >

この作品をシェア

pagetop