庭師とお姫様 (naturally番外編)
「私なら大丈夫です。きっとお母様も……国の、お父様の力になれることを喜んでいると思いますわ」



これ以上父を苦しませるまいと、ミリザ姫は微笑みを湛えたまま王にこう告げた。



「……その微笑みと優しい心根は母親にそっくりだ」



そう言って優しい目をした王の瞳には、ミリザ姫に重ねて亡くなった母が見えていたのかもしれない。



自分が生まれた時から用意された正室に、王家の利益の為に成された大富豪との政略結婚。



そんな王が唯一、自ら選び愛した女性がミリザ姫の母親だった。



< 7 / 70 >

この作品をシェア

pagetop