夢見るきみへ、愛を込めて。
送るよ、と言ってくれた司さんの車へ乗り込んですぐ、娘さんの話を持ち出した私の心臓はばくばくと鳴り響いていた。
その後どうなったのか、と直球過ぎたこともあったけれど、蒸し返す予定はなかったから。
「何も。途中までの足取りは分かっても、そこから先の調べがつかなくて」
おそらく私を頼ってきた時から進展していないのだろうとは思っていた。正直、興味がない気持ちは残っている。どこでどうなっていようと私の知ったことではないし、他人の未来を見る不快さは拭えないけれど、司さんが娘と呼ぶのなら、親戚であることに違いはない。
「でも……娘のことは事故や事件じゃない気がするんだ。なんとなく、だけど。いちおう僕にも、いぶきと、灯と同じ血が流れてるからね」
問題はそこだった。関わりのなかった私には、手繰り寄せるヒントも精査する情報もない。だから、なんとなくでも、事件や事故じゃないという司さんの勘が外れないことを祈るしかない。
「何か理由があって、姿を消したんじゃないかって、思うんだ」
「……」
「探すのは、やめられないけれど」
いつも困ったように笑う司さんに、奥歯を噛みしめる。唇が震えないよう耐えて、やっと口を開けたのは、駅に着いてからだった。
「写真を、送ってください」
今さらなのは重々承知している。求められた時は拒んだくせに、望まれなくなったら手を貸そうなんて自分勝手だってことも。それでも今の私に返せるものがあるとすれば、これしか思いつかない。いっくんへの想い以外に持っているものは、この力しか。
「……灯」
重ね合わせた両手は小刻みに震えていた。司さんの顔が見られなくて、いっそう俯いてしまう。