夢見るきみへ、愛を込めて。
――いくつものガラス細工が、淡く、儚げに、辺りを七色に染めている。
真っ白な部屋も、ところどころにある観葉植物の緑も光を受けて、揺れる水面のようにきらきらと輝いている。
ここは、どこだろう。
ふわりと靡いたのは、純白のレースカーテンだった。そこに影絵のように映し出された人影は、窓を開けて外を眺めているみたいだった。
『……ハル』
どうしてだろう。カーテンで隠れて見えないのに、そこに誰がいるのか予想できた。嘘だ、と信じられない気持ちがあるのに、揺るがない自信も隣り合っていた。
だって、その今にも消えてしまいそうな立ち姿は。そのなだめるような声音は。
『ハル。僕を見つけて。だけど、誰にも言わないで』
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弾けるように目が覚めた私は、眼前に迫っていた何かがママであると数秒遅れで理解した。
「ちょっと灯ちゃん、大丈夫!? 起きた!? 起きたわね!?」
鬼気迫る勢いで両肩を揺さぶられ、顔を覗き込まれる意味はまるで分からないけれど、頷けばママは大袈裟なほど溜め息をついた。
「良かったわあ、もう……何だかうなされてるみたいだったから。怖い夢でも見ちゃったのね」
うなされてた? 怖い夢……? そんな夢、見てたかな。夢は覚えているほうなのに。なんだろう、今日はすごくぼんやりしてる。