夢見るきみへ、愛を込めて。

――いくつものガラス細工が、淡く、儚げに、辺りを七色に染めている。


真っ白な部屋も、ところどころにある観葉植物の緑も光を受けて、揺れる水面のようにきらきらと輝いている。


ここは、どこだろう。


ふわりと靡いたのは、純白のレースカーテンだった。そこに影絵のように映し出された人影は、窓を開けて外を眺めているみたいだった。


『……ハル』


どうしてだろう。カーテンで隠れて見えないのに、そこに誰がいるのか予想できた。嘘だ、と信じられない気持ちがあるのに、揺るがない自信も隣り合っていた。


だって、その今にも消えてしまいそうな立ち姿は。そのなだめるような声音は。


『ハル。僕を見つけて。だけど、誰にも言わないで』



.+゚*゚+.。。.+゚・


弾けるように目が覚めた私は、眼前に迫っていた何かがママであると数秒遅れで理解した。


「ちょっと灯ちゃん、大丈夫!? 起きた!? 起きたわね!?」


鬼気迫る勢いで両肩を揺さぶられ、顔を覗き込まれる意味はまるで分からないけれど、頷けばママは大袈裟なほど溜め息をついた。


「良かったわあ、もう……何だかうなされてるみたいだったから。怖い夢でも見ちゃったのね」


うなされてた? 怖い夢……? そんな夢、見てたかな。夢は覚えているほうなのに。なんだろう、今日はすごくぼんやりしてる。
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