夢見るきみへ、愛を込めて。
*
引っ越し資金はあるにしても、毎月家賃を払うことを考えると頭が痛い。お父さんに頼ることは避けたいし、バイトをこれ以上増やすのは厳しいものがある。
「灯、ちゃんと朝ご飯食べた?」
「朝ご飯? グリーンスムージー」
「寒っ。せめてスープとかさあ……」
今朝、ストーカーを見掛けることはなかった。今のところ視線も感じていない。また来るって、いつよ。夜に来るってこと?
ノートに安易な星や三日月を描いていれば、影が重なる。翠が上の空だった私を咎めるように顔を覗き込んでいた。
「ひとり暮らしは慣れた?」
「……慣れるも何も、元から家で過ごすこと自体少なかったし。お父さんからも留守電入ってたよ。どうだ?って」
「どうなのよ」
「うーん。家事は中学のときひと通り覚えたから、特に不便はないかな。思い出すのにちょっと苦労したけど。ゴミ捨ての日、とか……」
その日が明日であることに気付き、うなだれる。
「ゴミ、捨てなきゃダメかなあ……」
「異臭を放つ家なんて行きたくないよ、あたし」
私だってそんな自宅に呼びたくないけれど、そういう意味じゃない。
相談、してみるべきかな。
でも現時点でこれといった迷惑行為はされてないし、根掘り葉掘り聞かれるのは正直なところ苦手だ。翠は人の嫌がることをするような子じゃないけど心配性だから、下手すると警察に相談しようとか言い出しかねない。
あのストーカーも今のところ外で待ち伏せているだけだし――それが正常なのかは置いといて、話がしたいだけなら自分でどうにかできる。
私は話すことなどない。
引っ越し資金はあるにしても、毎月家賃を払うことを考えると頭が痛い。お父さんに頼ることは避けたいし、バイトをこれ以上増やすのは厳しいものがある。
「灯、ちゃんと朝ご飯食べた?」
「朝ご飯? グリーンスムージー」
「寒っ。せめてスープとかさあ……」
今朝、ストーカーを見掛けることはなかった。今のところ視線も感じていない。また来るって、いつよ。夜に来るってこと?
ノートに安易な星や三日月を描いていれば、影が重なる。翠が上の空だった私を咎めるように顔を覗き込んでいた。
「ひとり暮らしは慣れた?」
「……慣れるも何も、元から家で過ごすこと自体少なかったし。お父さんからも留守電入ってたよ。どうだ?って」
「どうなのよ」
「うーん。家事は中学のときひと通り覚えたから、特に不便はないかな。思い出すのにちょっと苦労したけど。ゴミ捨ての日、とか……」
その日が明日であることに気付き、うなだれる。
「ゴミ、捨てなきゃダメかなあ……」
「異臭を放つ家なんて行きたくないよ、あたし」
私だってそんな自宅に呼びたくないけれど、そういう意味じゃない。
相談、してみるべきかな。
でも現時点でこれといった迷惑行為はされてないし、根掘り葉掘り聞かれるのは正直なところ苦手だ。翠は人の嫌がることをするような子じゃないけど心配性だから、下手すると警察に相談しようとか言い出しかねない。
あのストーカーも今のところ外で待ち伏せているだけだし――それが正常なのかは置いといて、話がしたいだけなら自分でどうにかできる。
私は話すことなどない。