いとし君へ
本当に、どうして女ってのはたかが数回セックスしただけで、さも自分が彼女だというような顔が出来るんだろうか。
そうして俺を管理しようとする。
非常に面倒な生き物だ。
俺は誰のモノにもなる気はない。
もっと気楽にやれる女がいればいいんだけど。
俺のすることに口出しせず、文句も言わない。俺がしたいときに穴だけ差し出すような女だったらずっと傍に置いてやってもいいのに。
「はぁ」
ぺたぺたと踵を踏んだ上靴の音が、人気のない廊下に響く。
その中を、零れた溜め息が溶けるように消えた時。
「よっ!また女切ったわけ?」
背後から俺の肩を軽く叩くように現れたのは。
「うるせぇな瑠唯。気安く触んな」
にやりと口元を緩ませた軽薄そうな顔。
目に掛かりそうなほど長い、薄茶色の髪がいつ見てもウザい。