いとし君へ




ったく、バカの一つ覚えみたいに…。


「また奏が一番かわいい子持ってっちゃうのかよー」

「黙れ一真」

「子猫ちゃん、こんな俺様鬼畜男なんかやめて俺と遊ぼうよ」

「こら樹生、誰が鬼畜だ」


からかう二人に対して、瑠唯はかなり冷めた目で女を見ていた。


…俺と同じように。


「え~、沙羅は鴻上先輩一筋なんですよぉ」


樹生の誘いに猫なで声で体をしならせる女。
その手がさりげなく俺の腕に触れた途端。



パシッ

「っ…!?」



嫌悪感にも似たような不快感に苛立ち思わずその手を振り払うと、突然の事に驚いたのか女も、周りにいた全員が目を見張った。


「…脱げ」

「え?」

「俺が好きなんだろ?だったら今すぐ脱げ」


そんな中で立ちすくむ女へ距離を詰めた俺は、そのミルクティ色の髪を一束掬い上げ。


「きゃっ!?」


グッと引っ張れば近づく耳元で。


「それが出来たら、俺の女にしてやる」


そう、囁いた。





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