屋上で待ってる
さっきまで強く吹き付けてきた雨も少しは収まったようで、パラパラと穏やかに音を立てている。
ゆっくりと、その青い傘を覗きこむ。
「いらっしゃい、お嬢さん。」
─色素の薄い、茶色のストレートヘア。
センスよく流された前髪から覗く瞳は、優しげで包容力がある。
白い肌はきめ細かく、シャツから見える鎖骨が色気を放っている。
(ど、どうしよう!)
こんなイケメンさんだったとは…なんとも心臓に悪い。
「あっ、えっと…」
き、緊張して上手く喋れない…!!
すると、イケメンさんは、堪えきれなかったように笑った。
「ははは!!素直な子だなあ。
そんなに緊張しなくて大丈夫だよ。なんにもしないから。」
そう言いながら、こちらに傘を傾けてくれた。
わあお、イケメンなうえに紳士でエスパーではないか。
「で、俺が君のことを知ってる理由、聞いてくれない?」
「………はぁ。」
「反応薄いな。別に知りたくないです、って顔に書いてあるぞ~。」
全くその通り。
「じゃあ、俺がどれだけ君のことを知ってるか、教えちゃうよ。」
気が付くと、雨は小雨程度に落ち着いていた。