屋上で待ってる





さっきまで強く吹き付けてきた雨も少しは収まったようで、パラパラと穏やかに音を立てている。



ゆっくりと、その青い傘を覗きこむ。




「いらっしゃい、お嬢さん。」




─色素の薄い、茶色のストレートヘア。

センスよく流された前髪から覗く瞳は、優しげで包容力がある。

白い肌はきめ細かく、シャツから見える鎖骨が色気を放っている。




(ど、どうしよう!)

こんなイケメンさんだったとは…なんとも心臓に悪い。




「あっ、えっと…」



き、緊張して上手く喋れない…!!



すると、イケメンさんは、堪えきれなかったように笑った。



「ははは!!素直な子だなあ。
そんなに緊張しなくて大丈夫だよ。なんにもしないから。」



そう言いながら、こちらに傘を傾けてくれた。



わあお、イケメンなうえに紳士でエスパーではないか。



「で、俺が君のことを知ってる理由、聞いてくれない?」


「………はぁ。」



「反応薄いな。別に知りたくないです、って顔に書いてあるぞ~。」



全くその通り。



「じゃあ、俺がどれだけ君のことを知ってるか、教えちゃうよ。」



気が付くと、雨は小雨程度に落ち着いていた。











< 14 / 77 >

この作品をシェア

pagetop