屋上で待ってる





バレないか心配だったけど、目の前の人は気にする様子は見せず、ふわりと笑って続けた。



「ていうか、ここまで初対面の人間がお嬢さんのこと知ってるのって気持ち悪いよね。
引いてるよね…?」



少し困った笑顔を向けられる。



「あ、いえ…」



たしかに、あんまりいい気はしない。

だけど不思議と、気持ち悪いとは思わなかった。



それをそのまま伝えると、ほっとしたような顔をした。
とても絵になる。


あ…でも一つだけ、気になることがある。


「ねぇ、お嬢さんは…」


「あの、お嬢さんじゃなくて、中原で大丈夫です…」



お嬢さん、とこんなカッコイイ人に言われ続けたら、なんだか落ち着かない。




「名前、呼んでいいんだ?」



こくり、うなずく。




すると彼は、突然質問してきた。











「──中原さんは、どうして屋上に来たの?」







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