屋上で待ってる
…今思えば、この時既に十分気を許していたんだろうなと思う。
─…この人になら、話してもいい気がする。
まだ名前も知らないけど、その包容力のある瞳に頼りたくなってしまった。
「…失恋したんです。ここで。」
屋上から校庭を見下ろす。
「うん。」
何かを言うわけでもなく、私の話を聞いてくれるみたい。
「その人とは、よくここで色んな話をしてました。
それが楽しくて…気づかなかったんです。
彼がここから、別の子のことを見つめてたこと。
それに気づいたとき、私は二人の仲をアシストして。
そのあとなんです。
彼のことが好きだってことに気がついたのは。」
「うん。」
「遅かった。全てが。
もう少し先に気づいたら、って、後悔してますよ。」
自然と自嘲気味な笑いがこぼれてしまった。
「あ、ごめんなさい!
暗い話しちゃいましたね。」
返事が返ってこない。
やっぱり、疲れる話だったのかもしれない。というか、絶対疲れるよね、こんな他人の話。
チラリと彼に目を向けると、少し考え込んだ様子だ。