屋上で待ってる
「じゃあ、後悔してるからここに来たってこと?」
え、と。
突然の質問に少し息が止まった。
ずっと考えていたのはこのことだったみたいだ。
「よく分からない、です…」
本当に。
今さら、蓮を手にいれたいとは思えない。
あんな幸せそうな顔。私じゃ絶対にさせてあげられない。
悔しい、とは思う。だけど、憎いわけじゃない。
じゃあ、この感情は何?
「もしさ、さっき屋上に来たときいたのが、俺じゃなくてその人だったら、どうしてた?」
角度を変えた質問。
「…ここで、また話したと思います。」
「でしょ?」
え、でしょ?って…
「中原さんは逃げない。俺もそう思う。
でも、今君の目の前にいるのは、君の好きな人じゃない。─俺だ。」
目が合う。
どきりとした。
優しさのなかにある、鋭く真剣な眼差し。