屋上で待ってる
「中原さんは、"変わりに来た"んじゃないかな。
後悔に浸るわけでも、自分から逃げるわけでもなくてさ。」
すうっと、視界が開けた。
目の前の紳士は傘を閉じる。
「雨、止んだね。」
「…はい。ありがとうございます。」
「ははっ、なんでお礼?」
私の受け答えに、楽しそうに笑う彼が眩しく見えた。
「私に、答えをくれたからです。」
今すぐには、この気持ちは変えられない。
だけど、この重苦しい気持ちを持っていても、変わろうと強く思えば、いつかきっと変われる。
「そう?」
気づくと初対面の彼と、目を合わせて笑あっていた。
なんか、不思議な光景だよなあ。
すっきりした気持ちからか、少し冷静になってそう思った。
「あの、貴方の…」
名前を教えて下さい。
そう聞く前に、彼が声を上げた。
「──あ!
中原さん、空!空みて!」