屋上で待ってる






「え?……わあ!」



そのはしゃいだ声につられて空を見上げると──



夕焼けに染まる鮮やかなオレンジが、雲の切れ間から光の帯を纏って表れる。

雲もオレンジに染まって、その綺麗さに私も声をあげてしまうほど魅とれた。



と。




カシャリ。

カメラの音が隣で響いた。



いつだしたのか、携帯のカメラで空を撮影していたみたいだ。



「ほら。」



私に見せてくれる。



…え、これ本当に携帯で撮ったの?


写真のことはよく分からないけど、携帯で撮ったとは思えないほど空が生き生きとして見えた。




「綺麗、ですね…」



「ほんとにねぇ。"夕ちゃん"みたいだ。」


「え…」


思わずフリーズしてしまうと、いたづらっ子みたいに笑ってホントだよ~、なんて言う。



なんだか頬が熱い。









< 21 / 77 >

この作品をシェア

pagetop