屋上で待ってる
「え?……わあ!」
そのはしゃいだ声につられて空を見上げると──
夕焼けに染まる鮮やかなオレンジが、雲の切れ間から光の帯を纏って表れる。
雲もオレンジに染まって、その綺麗さに私も声をあげてしまうほど魅とれた。
と。
カシャリ。
カメラの音が隣で響いた。
いつだしたのか、携帯のカメラで空を撮影していたみたいだ。
「ほら。」
私に見せてくれる。
…え、これ本当に携帯で撮ったの?
写真のことはよく分からないけど、携帯で撮ったとは思えないほど空が生き生きとして見えた。
「綺麗、ですね…」
「ほんとにねぇ。"夕ちゃん"みたいだ。」
「え…」
思わずフリーズしてしまうと、いたづらっ子みたいに笑ってホントだよ~、なんて言う。
なんだか頬が熱い。