屋上で待ってる




本当に露村先輩は不思議な人だ。

昨日初めて認識したというのに、彼の表情や仕草は、どこか知っている感覚にさせる。



「なんていうか、昨日話したばっかりなのに、先輩とは知り合いみたく感じます」



「…そうかもね。」



「え?」



ボソッと呟いた言葉は、風に流されてよく聞こえなかった。




「そういえば、時間は大丈夫?
今日は部活じゃない?」



「あ!」



やば、忘れてた。

友ちゃんに怒られ…いや、冷やかされる!


慌てて立ち上がると、



「いってらっしゃい。」



と、先輩が優しい笑顔で送ってくれた。



「…い、行ってきます。」



戸惑いながら、ぎこちなく返すと、先輩はまた楽しそうに笑うのだった。





…─屋上の扉が閉まる直前、先輩が寂しそうに空を見上げていたのは気のせいだったのだろうか?







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