屋上で待ってる
─本当は、蓮に問い詰めたいのは自分のくせに。
どうして、あの子なの?
どうして、私じゃないの?
私の気持ちに気づかなかったの?
…いくら考えたって、全て後の祭りだ。
周りに気付かれない程度に自嘲気味な笑みをこぼす。
そんな私の前の席に、また一人の女の子が座った。
「夕。」
その澄んだ声にふっと顔を上げると、小学校からの付き合いである宮川芽衣がそこにいた。
芽衣は私の顔をしばらく見て、
「…ちょっと、教室抜けよっか。」
と気遣うように言った。
芽衣には、隠し事は出来ないんだよな、昔から。
そうして芽衣に連れてこられたのは中庭だった。