屋上で待ってる
*side蓮*
「おい、夕!!」
「あいつ…」
去っていった夕のことを追おうとすると、
「れ、蓮君!」
純に袖を掴まれ、引き留められた。
「あ、私も、一緒に行く…」
あ、そうだよな。
心配だよな。
きっと、助けてもらったこととか、色々言いたいことあるんだろう。
でも、もうすぐ昼休みも終わってしまう。
成績優秀な彼女に授業に遅れさせるのは申し訳ない。
「授業もあるだろうし、大丈夫だよ。
なんなら、俺から伝言とか…」
「あ…そ、そだね」
え。なんで暗い顔するんだ?
俺は訳がわからず立ちすくんだ。
なんだか、こんな暑いのに、ここだけ気温が下がったみたいに感じる。
「じ、純…」
どうにかして、この気まずさを解消するべく口を開きかけたとき、やけに落ち着いたテノールが響いた。
「"夕"のことなら、俺に任せてもらおうか。」