屋上で待ってる
「…夕。戸川君のこと…」
中庭に着いてから、芽衣はゆっくり本題に切り込んだ。
好き、なんだよね?
…うん。
でも、私は数日前、その蓮への恋心に気づいたと同時に、失恋したんだ。
「…一歩、遅かった。」
要するに、そういうこと。
「そっか。
…話してくれてありがとう。」
芽衣はそれ以上、私に何か聞くことは無かったけど、大体の事情は察してくれたんだろう。
数日前、私は蓮から、瀬川さんと付き合うことになったって報告をうけた。
でも私は、もう思いを打ち明けることが出来なくなった。
なにせ、二人をアシストしたのはこのわたしだったんだから。
噂が出回ったのはその翌日辺りからだ。
芽衣の耳にも伝わって、心配してくれた。
小学校のころから私たちを見てきた芽衣だからこそ、この事情に触れることができるんだと思う。