屋上で待ってる
しばらく無言が続く。
が、その沈黙を破ったのはやっぱり芽衣だった。
「私は、夕には幸せになって欲しいから。
ほら、龍と付き合えたのも、夕が色々助けてくれたおかげでしょ?」
龍とは、芽衣の彼氏、青木龍のこと。
高1の頃、私が色々相談に乗っていて、今年の四月になってやっとくっついた。
私は、いつも助けてくれる芽衣の役に立ちたいだけだったから…
ボーッとそんなことを考えていると、芽衣は私の両手を取って言った。
「だから、自分が、夕が幸せになることを考えてみてもいいんじゃない?」
──…ありがとう。
そう口に出せなかったのは、優しい言葉に涙が溢れそうだったから。