屋上で待ってる



久しぶりに通された蓮の部屋は、相変わらず漫画やゲームが散乱していて、きれいとは言えなかった。

先上がってて。

そう言った蓮はキッチンに向かっていった。



「ほい、ケーキと紅茶持ってきた。」


昔から見ている部屋なのに、なんだか落ち着かず制服の袖をいじっていると、蓮が想定外のものを持ってきた。


「え?」


「なんだよその顔。夕が、お茶用意しとけっていったんでしょー?」



うん、そうなんだけど。
やっぱり蓮は、いつも通りなようで、いつも通りじゃなかった。

だって今まで、蓮がお茶の用意なんてしてるところ、私は一度も見たことがない。



「あ、そうだった。ありがと。」

「はいはい。」



ふっと訪れる沈黙。
あれ。さっきまで、口は回ってたのにな。


どうやって切り出すのか、考えてたのに、忘れちゃった。



「…」


それでもいいか。
だって私が言いたいことは、たったひとつなんだから。






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