屋上で待ってる
「あのさ」
「あのね」
「…」
同時に出た声に、驚いた顔。
自分も蓮と同じ顔してるんだと思ったら、なんだか可笑しくなってきた。
「ふっ、あははっ」
そうだ、緊張したってしょうがない。
答えは分かってるし、なんせ相手は、まっすぐで素直なこの幼馴染なんだから。
「え!?何笑ってるの!夕怖いんだけど!!」
「いやっ、だって蓮、緊張しすぎなんだもんっ」
私がそういうと、蓮は少しはっとした後、むっとした顔で言い返してきた。
「うるさい、夕が話あるとか、改まったこと言うから俺が気使ってあげてたんですー!」
だけどその表情は昔から見てきたもので。
なんだ、存外、難しいことはなかった。
「はいはい。」
「むー」
「すねないの。話っていうのはまあ、すぐ終わるから。」
蓮の表情はまた少し堅くなったけど、それでも蓮なら、最後は笑って聞いてくれるような気がした。
「…うん。」
やっぱり指先は少し震えるけど。
でも、うん。大丈夫。
全然言える。
『今夜は、晴れるから。』
「─私、蓮のことが好きだよ。」