屋上で待ってる
「えー、生徒の皆さんはくれぐれも…」
体育館に籠る熱気はうだるように暑い。
かれこれ10分は話している校長先生の話はまだ続きそうで、額の汗をぬぐいながら、皆うんざりした顔をしている。
私もそんな生徒のうちの一人なんだけど。
「ね、夕。どうするの?」
ぼーっとしていると、後ろにいた友ちゃんがひそひそ声で話しかけてきた。
「友ちゃんまだ終業式終わってない。」
思いのほか周りは静かで友ちゃんをとがめるけど、こういう時の彼女には関係ない。
「どうせ誰も聞いてないんだからいいよ。
それよりも!まだ先輩に会えてないんでしょ?」
「...まあ、ね。」
あれから、2日経っていた。
昨日の放課後先輩に会いに屋上に行ったけど、珍しく姿が見えなかった。
そのあとも待ってはみたけど、先輩はついに来なかった。
何か用事があったんだろう。
そう思えばいいのに、屋上に行けばいつもいた姿がみえないことに、落胆とは別に、少しの不安を覚えた。