屋上で待ってる
「どうするのよ、今日で一学期終了だし、先輩受験生なんだから夏休みに会える確率なんてたかが知れてるでしょ?」
「分かってるよ。ていうか友ちゃん、どれだけ先輩推しなの」
「露村先輩推さずして誰を推すの!
ていうか今日の放課後屋上に行こうとしてるんだろうけど、今日の部活はさすがに遅れられないから駄目だよ?」
「あ、そうだった!…どうしよう。」
連絡先は知ってるからメールやメッセージでもいいのかもしれないけど、直接言いたい。
「…そういえば、なんで屋上じゃなきゃダメなの?」
私の前にいた芽衣が急に話に入ってきた。
「え…」
「たしかに!」
それは、先輩のクラスを知らないからだった。
ほかの先輩にでも聞けばいいのだろうけど、それはなんかタブーな気がする。
屋上だからこそ、意味のあるもののような気がしていたのだ。
…でも、そういえば保健室で慰めてもらったよなあ。
そっか、それは先輩が会いに来てくれたからだと、はっと気づいた。
夏休みに入るまでの、たった二週間。
自分のことで精いっぱいになっていたわたしは、もしかして、無意識に先輩との間に一線を引いていたのかもしれない。
そして先輩は、それを飛び越えてきてくれたのかもしれない。
だから今、先輩の姿がみえないことを、寂しいと思うんだろうか。