意気地なしの初恋
現在いる場所は、県内のショッピングモールだ。放課後に、立ち寄る高校生やカップルが多い。今日、私達は人生で初制服を着たままショッピングモールで放課後を楽しんでいる。何を話してるかというと、それは、主に“恋話”ってやつだ。

「陽菜は、好きな人いるの?」
そんな事を紗羅は言い出した。
「えっ?居るわけないよ〜。好きになった人いないんだよ私。」
毎回聞かれるとこう答えていたけど、皆「居るけど教えなーい」とか言っていて自分の答えが、悲しくなってくる。
「えー…悲しすぎるよー。」
「ハイハイ。そうですねー。っていうか、紗羅は居るの?好きな人」
「いるに決まってんじゃん!!」
「え!?いるの!?」
「なによー!わるいー?」
「いや、別にそういう訳では……」
私は、かなりびっくりしていた。
「誰か気になるー?」
「うん!きになる!」
「んー…よし!陽菜だけに教えてあげよう」
「C組の金本裕人くんが好きなの……」
紗羅は、私の耳元で顔を赤らめてボソッといった。
「嘘っ!?」
「嘘じゃないから!ってかさ、声でかいよぉ」
「ゴメンゴメン」
金本裕人は、運動神経が物凄くよく顔も良い、しかし頭は普通よりちょっと下位だ。でも、女子の人気はとてつもなく高い。
「まぁね、私には無理ってわかってるんだけど……」
私は、動揺を隠せないでいた。
「陽菜!いつまで驚いてんのさ!」
「あっ!ゴメン。びっくりしすぎて」
「もぉー。」
「でも、裕人くんって物凄く人気だよね?」
「うん…私さ、1年の頃クラス一緒で少し話したことあって、とっても優しくて体調悪くて保健室で寝込んでた時も、給食持ってきてくれたり気遣ってくれて、好きになったの」
紗羅が、好きになった理由は余りにも深くて、私は恋愛というものはこういうものなんだと確信していた。
「そっかぁー。それは、惚れるね」
「でしょー?なんか機会があればねー」
「だねー。」
< 2 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop