星の印〜陰陽師其の弍〜



「あっ!」



不意に木の根に足を取られ、麟の体が後ろに傾く。

それが合図かのように、緋鳥が麟を目がけて翼を振り下ろした。



「麟!」



由来が麟の名前を叫ぶ。

もう、駄目だ…!

麟はぎゅっと目を瞑り、そのまま後ろに倒れる。

でも、覚悟していた痛みは全くない。

え…?

背中にはふかふかな草の感覚があるだけ。



「おい。大丈夫か?」



…この声

麟がそっと目を開けると、目の前に陰陽師――藤宮真白が立っていた。


< 49 / 54 >

この作品をシェア

pagetop