恋心コロコロ2~天使さまのいうとおり~
そうは言っても、

ついこの間まで視界にあの方がいるってだけで、

もう、幸せだった。


声をかけるなんて芸当あたしに出来るのだろうか?

「じゃ、そういうことでよろしく!」

鼻歌交じりに帰ろうとする野里奈ちゃんを、

必死に引き留める。

「ちょ、ちょっと待って!」


「あ?」


「そんなのできるわけないじゃない!

 あたしの性格知ってるでしょ?」

「知らない。」

「ひどいよお、野里奈ちゃん。

 あたしっあたしっ……」

野里奈ちゃんは、なんだかんだいって優しい。

まだ会って2カ月しかたってないけど、

こうやって困った人間をむげにはできない。

ツンの後は必ず……


「はあぁっ、

 しょうがないなあ。

 声をかけるの手伝う。

 それでいい?」

やっぱりねえ。

ごめん、あたし判っちゃってるんだ。

S系女子野里奈ちゃんの操縦法はばっちりなのだ。


「うん!

 ありがと!あたし頑張る!

 野里奈ちゃん大好き♡」



「よ、よし、じゃあ行くよ!」

顔を紅くしながら、

踵を返してすたすたと歩き出す。

さすが野里奈ちゃん男前~って、


「今??」


「当たり前でしょ?面倒なことはさっさと済ませる!」


「ああっでも、まだ心構えが!」


「そんなもん待てない。」

ぴたりと立ち止まって

ぐるっとあたしに向き、

「知ってるんでしょ?

 あいつは今どこにいるの?」

「ええと、多分図書館に……え?」

「よし、行こう。」

エンジェルフリークのあたしとしは、

校内に天使がいつ頃どこにいるかなんて、

当然知ってるけど、


野里奈ちゃんに……ばれてた?



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