恋心コロコロ2~天使さまのいうとおり~
「あ……」


身を乗り出しすぎた、と思った瞬間には、


あたしの手から紙袋が離れていた、



---おもちゃバケツが……!


「危ない!」

体半分、窓に外に出ていただろうあたしお身体は、

誰かに抱きとめられていた。


手から離れたおもちゃバケツの入った紙袋は

ふわりと浮かんだように宙に舞い


そしてばさりと音を立てて生垣の上に着地した。

「よかった」


頭の中に砕け散る映像が浮かんだあたしは、

意外に変わらない目の前の様子に思わず声を漏らした。


「それはこっちのセリフ!何やってるんだよ鏑屋!

 こんなところでお手軽に投身自殺じゃねえだろう?」




「戸井田君?」

クラスメイトの戸井田君だった。

「ああ」


「何やってんの?こんなとこで?」


「はあ?

 今。お前を助けてやったのは誰だよ?」


「戸井田君?」

「そうだよ。

 鏑屋はいつもぼーっとしてるから見てるこっちはハラハラすんだよ。」
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