秋の扇

小さな存在


***

「イト?また、見学。体調大丈夫なの?」

優しいマユコが心配そうにたずねる。

「うん、平気平気。最近貧血でね。病院で運動は無理するなって言われてるだけだから。」

「そう?鉄分多くとらなきゃ駄目だよ!早くよくなってね。」

マユコはふわりと微笑むと、クラスの整列の中に入っていった。

「..ありがとう。」

心からの言葉。

病院に行ったあの日から数日。
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