秋の扇

「...なに泣いてんだよ。。」

「泣いてないし!」

「ないてんじゃないすか。」

「だから泣いてないしバカ!」

今は無理。

ケイに上手く話を逸らされてしまったし。

ケイが私を心配してくれているのも伝わるから。

余計に平常心を保てない。

ミワごめん。またトライする!

心の中でそっと呟いて自分の席にダッシュした。

「あ、おい。......」

後ろからケイの声がしたけど振り向くもんか。

「イト、おはよっ」

今日も相変わらず汚れのない爽やかな笑顔のマユコ。

「おーおは」

「もーイト!もっと私にも明るく来てよー!」

「どゆこと?」

「有ヶ谷くんとは仲良いのにー!」
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