秋の扇

先生が運転してくれる車の中で、もし私が赤ちゃんを産んだら、なんて名前つけるんだろうとか。

男の子かな、女の子かなとか。

そんなのん気なことを考えていた。

「イトちゃん。」

しかしそんなのん気な考えは、先生の私を呼ぶ声にかき消される。

「..はい?」

「イトちゃんは、確かお兄さんと二人だったわよね?」

...カツノリ。。

一番大事な存在なのに。

今日には酷く傷付けることになるだろう。
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