浮気男と俺様男
不安
もうどれくらい泣いただろうか。
人間はこんなに涙が出るんだ、って思うほど泣いた気がする
涙は枯れないのかな。なんて
呑気に考えられるくらいにまで落ち着いたので、まだ屋上から出てこない篤稀くんを見に、屋上へ戻った。
お礼も言わないと…ね
屋上を覗いてみると、
篤稀くんは腕を頭の後ろに組んで
足もクロスした状態で眠っていた
その光景が、絵に書いたように綺麗だった
篤稀くんのいるところに近寄り、
ジッと見てみるけど、起きない
「まつ毛…なが」
本当に綺麗な顔立ちだなぁと思った
「さっきの、訂正しとくね。
智哉なんかより、篤稀くんのほうが何倍もかっこいいよ。
あと……ありがとう」
寝てるであろう篤稀くんに
私はそう言った。
聞こえてるわけなんてないのに。
起きたらちゃんとお礼言わないと…
「つーかあんなやつと比べんなよ」
「うん、ごめんなさい…………っえ!?」
バッと篤稀くんのほうを見ると、
こちらを睨むように見ていた
いつから起きていたのか分からないが
とにかく怖い…