ヲタク女と呼ばないで!
一階に本屋さん、二階はレンタル店になっている、ここTSUTAMAは、近辺ではライバル店もいないからなのか、いつも賑やかである。

ああ、私もこの華やかなお店で今日からバイトするんだー。友達できるかな~。う~ん、友達なんて贅沢は言いませんよ。とりあえずイジめられなければ・・・。

そして、恋も・・・。って、あー、もう恋はないんだっけ。失恋明けの乙女なのでした。

おっと、そんな感動に浸っている時間はありません!私は階段を駆け上がって二階に向かった。ちょうど、高岡さんがレジにいたので、とりあえずは挨拶。

高岡さんは、ワイシャツにネクタイをつけ、まるでサラリーマンな格好で、ある意味レンタル店には似つかわしくない感じがしました。

「ああ、宮城さんか。とりあえず、そっちのバックヤードから、三階に上がっていってください。女子更衣室に宮城さんのロッカーをもう用意してるから、開けてもらって、中に入っているユニフォームに着替えて従業員室で待っていてね。」

私は、関係者以外立ち入り禁止と書かれた扉を抜け、裏に隠された階段を上り未知なる三階へ!

この店って三階に事務所なんかあったんだー。なんか、店の裏側って面白いですよね。ちょっと秘密基地探索みたい。

三階に上がると、狭いけど、いかにもな事務所があり、ノートパソコンがいくつか並んでいた。

そして、奥には従業員の待合室らしきところがあり、すでに少し賑やかな声がしていた。

たぶん、夕方から入る人たち。つまりは私と一緒に働く人だろうなぁ・・・。どきどき。

私は、いきなり緊張しちゃって、こそ~りこそ~りと、足音もたてずに、更衣室に逃げ込んだ。

今日入る新人の話とかしてないかなぁ。そんで、お局さまみたいな人がいたりして、どういびろうかって話してたり・・・。ああ、どうしよう、どうしよう!すごく緊張しちゃう。

そういえば、今日は彼は来てるのかな。ああ、会ったらどんな顔したらいいの!?

ううん、もう彼は他人、他人なのよ!もう他の誰かのモノなの!

私は自分に言い聞かせて、言い聞かせて、少し深呼吸した。

時間もない!着替えなきゃ!私は自分のロッカーを探した。
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