ヲタク女と呼ばないで！

宮城、宮城、宮城・・・とあった。ついでに、私は他のロッカーもじろじろ見てみる。さすが大きなお店、ロッカーもたくさんです。

金子さん、鈴木さん、泉坂さん、どうぞどうぞ、イジめたりしないでください！

と、そのときバタン！と、更衣室のドアが開いて、私は突然のことにびっくりする。

そしてその勢いのまま、一人の女性がすごく息を切らせながら、更衣室に入ってきたのだ。

彼女は相当走ってきたのか、ひざを押さえて、うつむきながら息を整えていた。

「ぎ、ぎりぎり～。」

と、その女の子はかすれた声でつぶやく。どうやら、私と同じで遅刻寸前で駆け込んだらしいです。

「だ、大丈夫・・・ですか？」

私は、おどおどきょどりながら、何とか声をかけてみる。

彼女は、ちょっと驚いた感じで、やっと顔を上げる。

「ああっ！！！」

と、声をあげてしまったのは、他でもない私の方でした。

すごく大きな声で、驚いたからか、彼女のほうまでびっくりしていた。

って、彼女！彼女なんです！昨日、彼と会っていた彼女なんですよ！！ああ、そうか、同じバイトの人だったんだ。全然不思議な話じゃないよ。なんで、そんな想像もしなかったのだろう。

「え！？なになに、どうしたの！？」

私の突然の驚きに、彼女の方が戸惑っているようでした。

冷静になれ！カンナ。昨日のことは忘れて！！え～ん、でも、いきなりこんな状況ってついてないよぉ～。

「あ、あ、す、すいません！昨日うちの近所で見かけた方だったので、ちょっとびっくりしちゃって！」

超きょどる～。全然、冷静ではないね。って、変な話だよ～。近所で見かけたからって、普通誰も意識なんてしませんよ。

「あ、もしかして新人さん？」

「は、はい。今日から二階で働くことになった宮城です！」

「そうなんだー。私は一階で働いている泉坂。ちょっと長くて読みにくいけど。」

あれ？なんだろ、なんかすごく感じいい人。ごめんなさい～。あんなことあって、勝手にすごく意地悪な人を想像しちゃっていたよー。

そうか、泉坂さんは一階で働いている人だったんだー。本屋さんのほうは、ほとんど顔を覚えていないからな～。