ヲタク女と呼ばないで!
レンタル業務のお仕事は、大きく二つあります。ひとつは、もちろんのこと接客ですね。私がもっとも苦手とする分野!

そして、もうひとつは、返却されたDVDやCD、ビデオを棚に戻すことです。

私は、とりあえず商品棚を覚えるために、返却要員にまわされる。

「女の子は、レジがメインなんだけどね。」

え?そ、そうなの~~~。絶対、100%の確率で、超きょどるよ~。

きょどるだけなら、ともかく間違いそう~。でも、13歳のキキでさえ、パン屋のレジに立っていたのだ。19歳の私にできないなんてことは・・・、でもでも~。

何はともあれ、私は店の中を目的の商品棚めがけて縦横無尽に駆け回る。

むむっ、このアニメは~!もうレンタル開始してたの!?

そういえば、さっき阿部さんに、社割について聞いてみたら、全部半額レンタルになるそうなの~。半額ですよ!半額!スーパーのタイムセールみたいじゃないですか!

私は、かなりテンションが上がった。

「宮城さんさ~。」

と、何往復かしたときに、ふと阿部さんに声をかけられて、私はドキッとしてしまう。

「は、はい。なにか、私やっちゃいました!?」

「あ、いやいやそんなことじゃなくて、やけにアニメ分野の消化率がいいなーって。」

そ~いえば、私はさっきから、アニメばっかりを選んで返却してるような・・・。

「実はヲタクなんじゃないの~?って、そんなことはないかー。」

私は氷のように固まった。い、一応、ここでは普通の女子大生を演じて見せようと思ったのに、初日からすでに怪しまれているよー!!
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