むげんはなび
植えつけられたその印象のままに、小さなからかいを繰り返していく間。
俺はいつも後ろの席から彼女の背中を見ていた。
────いつだって、夏目の背中はピンッと伸びて、真っ直ぐだったんだ。
ドジなことをして、羞恥から身を縮めてしまいそうな時も。
眠そうにしている時も。
哀しい時も辛い時も苦しい時も。
その背中はすごく、綺麗で。
見ていると、俺も頑張らないと。
授業を聞くことはなくても起きていてみよう。
その次は、少しでも真面目になってやる。
そんな風に思うようになって。
どんな時も背を曲げない彼女が。
俺の、なにかを頑張る理由になった。
ただのクラスのマスコットじゃない。
ただの弄りがいのある奴じゃない。
ただのドジでモテる奴じゃない。
特別な、クラスメートなんだ。