むげんはなび
そして、彼女の手に自分のそれを重ねる。
ぎゅっと掴んで、いつも釣る時の感覚と出来るだけ同じになるようにする。
「ひゃっ⁉︎」
「いいかー、こういうのはな、あんまり濡らさなかったら大抵いける」
「みみみ水谷く、」
「雑にはしないけど、素早く。
これ鉄則だぞー」
「ちか、ちちちかっ」
「集中ー!」
「はいぃっ」
いくぞー、と息を合わせて、とぷん。
そっと水に沈め、針を輪ゴムに引っかけて持ち上げる。
ゆっくりと水面から顔を出した丸いヨーヨーを掌で受け止めた。
「わ、取れた!」
すごいすごい、と大盛り上がりな夏目が嬉しそうにこっちを見てきて……。
待て、なんでこんな近い。
ズザッと立ち上がって距離を取ると、夏目もつられて頬を赤らめる。
互いに謝罪を交わしていると、それを見ていた周りの人たちにくすくすと笑われた。
「にーちゃんたち、あれだな!
''リア充''って言うんだろ!」
黙れ小学生。違ぇよ。