むげんはなび
ぽとり、なにかを落としたように零れた言葉。
まるで線香花火のようだ、なんて考えている自分を客観的に見た。
そうやって、ようやく気づいた気持ち。
やけに気恥ずかしくて、へへ、と声が零れる。
受け入れた自分の''好き''は、あっという間に強くはっきり。
体の中心をぎゅっと囚われたようで、だけど嫌じゃなくて、堪らない。
花火に火をつけて、光が弾け始める中、夏目の隣に並んだ。
ようやく彼女の表情をそっと見る。
夏目は驚いたように目を見開いて。
恥ずかしそうに顔を背けて。
なにかを言おうと俺に向けて口を開いて。
哀しげに唇を噛み締めて。
「────ありがとう」
儚く綺麗な花火のような笑顔を浮かべた。
──────────そして、夏目は花火が終わると同時に、ふわりと消えた。