むげんはなび
「じゃあ……わたしラッキーだったんだ」
「んー?」
「だって水谷くんのスマホが壊れてなかったり、家にずっといてたら、今こうしてここにいられなかったってことだもんね」
水谷くんには悪いけど、嬉しい。
なんて。
ふふ、と両手で持ったりんご飴を少し遠ざけて、はにかみ笑い。
染めた頬はりんご飴と同じくらい。
本当……敵わないな、夏目には。
「そう、だな。
どうせ俺メールとか面倒で滅多に確認しないしな」
「そうそう!」
「それに藤原たちといるより、夏目とこうやって一緒に回っている方が楽しいし」
「っ!
……わたし、も。
水谷くんといるとね、すごく楽しいよ」
えへへー、と首を小さくすくめてみせる彼女。
いつだって前向きで、考え方が魅力的。
話しているだけでいいなーとか、すごいよなーとか思わされる。
俺は、夏目のそういうところが……、