君はあの日のパンパスグラスを覚えているかい。

トン トン


「純くん入るょ。」


いいょと言う前にボクの部屋に入って来るお姉さん。

「純くん又、現実逃避?」

ボクがベッドに座って携帯をいじってるのでそう言っている。


「ケーキ買って来たから下に降りてきなょ。一緒に食べよう。」


「うん、わかった。姉さん。」



お姉さんはここの一人娘。田中家の長女。
田中美栄(たなかみえ)。
大正大学の二年生。


ボクがここの家に来て、勉強など見てくれた。本当の弟のように接してくれるお姉さん。
ボクはそんな美栄姉さんが好きである。



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