カラメル
「……分かったよ」
まだ口に、苦みが残る。
ホントは言いたくない。
ホントは嫌だよってしがみつきたい。
君がまだ微笑んでくれるなら。
君がまだ、優しく受け止めてくれるなら。
でももう、あとは苦みしか残ってないのなら。
「…君が、別れるって言うんなら…別れる…」
君という名のプリンを、私はそっと手放した。
カップの中には、カラメルが残されている。
「意外とすんなり分かってくれてよかったよ」
そう言って笑う君の顔は、少なくとも笑顔ではないと思う。
そんな顔でも、何故だか嬉しくなったしまう。
笑ってくれた。