カラメル




「……分かったよ」


まだ口に、苦みが残る。

ホントは言いたくない。

ホントは嫌だよってしがみつきたい。


君がまだ微笑んでくれるなら。

君がまだ、優しく受け止めてくれるなら。



でももう、あとは苦みしか残ってないのなら。


「…君が、別れるって言うんなら…別れる…」


君という名のプリンを、私はそっと手放した。

カップの中には、カラメルが残されている。



「意外とすんなり分かってくれてよかったよ」




そう言って笑う君の顔は、少なくとも笑顔ではないと思う。




そんな顔でも、何故だか嬉しくなったしまう。

笑ってくれた。



< 12 / 15 >

この作品をシェア

pagetop